外食!商品開発 最前線

開発の舞台うら

仮説検証はなんのため?動かしたい数字はどれか

 

 仮説をたてて検証をする。最終的に動かしたい数値はなんでしょうか?。いうまでもなく、利益でしょう。利益といっても粗利益、営業利益、最終利益、あるいは限界利益などありますが、店舗人員の稼働計画に影響するほどややこしい商品だったり、設備投資の絡む施策でない限り、商品開発においては粗利益をみればよいでしょう。

 ただ、全社の利益はどれもたった一つの施策で動かせるほど軽い数値ではありません。また、そんなホームランのようなあたり施策は、まずそうお目にかかるものでもありません。

 ではつぎに、利益はなにでできているでしょうか。

 売上高と費用に分解できます。費用は極めて重要ですが、商品開発をする上では色褪せた足枷のような存在で、気分が乗らなくなるので、今は置いておきます。

 売上高を見ましょう!(仕事では費用もしっかり見てください)

 売上高は、単価と客数に因数分解できます。さらにその単価も因数分解もしくは何らかの変数の関数として表すことができます。客数も同様です。



 因数分解で表せるところは ●●✕△△ で、引き算で表せるところは 〇〇-▲▲ で表してみました。わかりやすくするため、単位を付してあります。

 なお、ここではカウンター越しにレジと商品の受け渡しをする店舗のパターンを描いてみました。ハンバーガーなどのファストフードやカフェチェーンで一般的です。「客数」とはせずに、「レジ会計数」としています。この場合はレジにはそのグループの代表者が並ぶなど、注文時にいったい何人が食べるのかわからないのが特徴です。さらに、フードコートに店舗がある場合、グループ内で注文にいく店が割れることがよくあります。グループ内の全員がわたしの店に来てくれればこんなにいいことはないのですが、実際にはそうはいきません。お父さんはラーメン&チャーハン、お母さんは野菜ちゃんぽん、上の子はスパゲッティで下の子はマクドナルドなんてことになり、時間差を考えてそれぞれ買いに行ってみんなで集まってやっと食事、なんてことはよくあります。ファミリーレストランのようなテーブルサービスの店に比べるとその点がやや複雑なので、上記のパターンを描きました。

「売上高をあげろ!」開発の現場にいると、そんな声が経営陣から上がってきます。

そのために何ができるか。売上高をあげるなんで、そんなざっくりした要求を眺めたところで、なにもでてきません。なので、こうして因数分解をして「レジ単価を上げる」「レジ会計数を増やす」と考えます。

 さらに、「レジ単価を上げる」には何ができるでしょうか。商品の単品単価を引き上げるのも有効な場合があります。商品構成グラフを書いて、そのグラフをきれいに整えつつ全体として高価格帯にずらすなどの手をとります。でもお客様にしてみれば、選びやすくなるなど多少のメリットはありますが、基本的には損な話なので、お客様を失うリスクが常にあります。「レジ当たりの注文点数を増やす」のがより穏当な手でしょう。でも、これも「1人当たりの注文点数」と「レジ当たりの喫食人数」に分けて考えることができます。

 こうして、「売上高をあげる」という大目的を因数分解してアクションがイメージできるサイズにまで細かく砕くことができました。さらに個人やプロジェクトチームがテーマとして取り組めるサイズにまで細分化すれば「売上高を上げる」を目的とした実際の開発業務が進行可能となります。

 たとえば、カフェチェーンであれば、「単品単価の上昇」にあたり、季節ごとの商品を去年より少しグレードアップすれば少々値段を高くしても去年並かそれ以上に売れるかもしれません。また、コロナとウクライナ情勢をうけても今ならば、メリハリを付けた価格改定をすればお客様からあっさりと受け入れてもらえるかもしれません。また、「1人当たりの注文点数の向上」にあたり、ドーナッツなどを利益率を抑制して販売すれば、いままでは外のラーメン屋でしっかり食べてきてカフェでコーヒーだけにしていた人を、ラーメン屋ではやや抑えてうちの店で「もう一品」頼んで満腹になるように誘導できるかもしれません。

 このように、「売上」というBig Wordのままでは施策に落とし込みにくいので、より手が出しやすいサイズにまで因数分解していき、そこをゴールとして仮説を立てていきます。

 

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※文頭の写真

 オスロコーヒーのパンケーキ。大判でのっぺらぼうでとっつきの悪い感じが「売上高」のようなBig Word とマッチした。サクフワでかけたシロップが噛むごとにスポンジの間からジュワッ。横のクリームチーズをのせるとトロける感じがさらにプラス。

 パンケーキ、某チェーン店でメレンゲがくさいときがあって、それ以来苦手になってしまったのだが、ここのはうまかった。