外食!商品開発 最前線

開発の舞台うら

客数を分解する

 月々のお客様の人数はどうしておおよそ一定なのでしょうか。

 個々のお客様をみれば、気まぐれでご来店になったり、やめたり、それはもう人それぞれです。 でも、日や月でお客様の人数をならすと、大体決まった人数が毎日毎月いらしてます。稼働計画を前もって立てられるのも、これが理由です。

 ちゃんと調べてみると、きっと客数を増やすためのヒントが埋もれているはずです。

 月当たりの客数を下に挙げたような多くの変数で説明できるかを試してみるといいかもしれません。下記の変数はパッと思いつくものばかりです。その他にもツイッターによる拡散が客数に影響しそうな店であれば、ツイッターの件数なども指標にいれてもよいでしょう。

 とにかく、多くの変数を準備して、それを片っ端からためしてみるとよいのではないでしょうか。

 さて、LN()としたのは、ばらつきが激しいので対数をとったほうが良いかなとおもったものです。

 乗降客数の多い駅(品川、新宿)に出店する場合もあれば、それほど多くない駅(鷺沼、狛江)のような駅を検討する場合もあります。桁違いに乗降客数が小さいので、横軸をただ単に乗降客数でとってしまうと、左のような図になってしまいます。

重回帰分析を行う場合、説明変数も目的変数もちょっとした工夫で正規分布に近づけられるなら工夫しておきましょう。式の当てはまりがよくなります(必須ではありません)。よく使うのは、例にあるように対数(LN)をとることです。

 実際に対数をとってばらつき具合を確認してみてください。

 形式で0,1 δ型とあるのは、ある瞬間にポンっと影響がありそうなものを上げてみました。次の月にはその影響がなくなっているでしょう。

 グランドメニュー改定は悲しいかな次の月には華やかな目立つ影響がだいぶ薄まっているのが現実だと思ってます。

 ただしやらないと、来店頻度が減って客数が減る方向に行くと強く考えられていますし、私もそうだと思っています。

 0,1 ステップ型と表現したのは、以下のような関数です。

 たとえば、今までにない新カテゴリーのメニューを大々的に導入したとかです。あるいは、ある日から近隣で自社競合店が営業を開始したとかです。これらは永続的に影響が残るので、ステップ関数とするのが良いのではないでしょうか。

 実際に当てはまるかどうかは、実際に計算をしてみてください。

 とはいえ、上に記したとおりにやっても、そんな簡単ではないかもしれません。店舗を分類したり、休日平日を分けたり、ランチとディナーを別にしたりと、もう一段細かく分類しないとうまくできないかもしれません。

 うまく結果がでるといろいろなものが見えてくると思います。秋冬は集客力がないとか、出店地域の差がもろに出るとか、出店時期(古さ?)が客数に影響しているとかが同程度の粒度感でみえてきます。それにより対策をうつべき優先順位が見えやすくなり、同時に担当すべき部署もわかりやすくなるでしょう。

 

※文頭の写真

 ル ショコラ アラン・デュカス (東京 日本橋

 抹茶のグラニテ(イタリア風かき氷)。中にレモンカードとチョコレートのソース。すごく濃厚な抹茶のシロップをつかっている。これだけ濃いと渋そうなものだけど、ぜんぜん渋くない。いい抹茶を使ってるのだろう。

 グラニテはイタリア発祥のかき氷でイタリアではグラニータといいます。果汁を砂糖と混ぜてバットに数ミリの厚さに薄くひいて冷凍庫で少し固めます。硬くなり始めたらスプーンでザクザクに砕いてまた固めます。これを何回か繰り返します。

 森永乳業の超ロングセラー「みぞれ」のシリーズがまさにグラニータだと思ってます。