外食!商品開発 最前線

開発の舞台うら

V(価値)のあげ方

 たまにはレシピの話もしたいと思います。

 味の要素で大事なのは、Aroma、Flavor、Taste、Look、Texture。

 そのなかでもFlavor、これが難しい。フレーバーというのは、飲み込んだ後に鼻腔に残る香りです。アロマというのは口先に食べ物を持ってきたときに初めに感じる香り。テイストというのは舌で感じる味。ルックは見た目。テクスチャーは食感です。

 味は工場で作りこめます。どの醤油をつかうか、油はどれにするか、塩かどを立たせないようにするにはとか、甘味は玉ねぎなのかはたまた味醂なのか。

 ルックは食材の種類と色合い、ボリュームで決められます。ようはお金のかけようで決まるということです。

 アロマは、店でチーズをかけるとか、コショウをパッとふるとか、レモンを絞るとかで何とかなります。

 フレーバーは、アロマに通じますが、ちゃんと残ってくれなければならない。食材の良さがもろに出てしまいます。とくに、工場で処理してきた野菜はもうダメ。次亜塩素酸水などの殺菌剤や微生物が自らを守るためにつくったバイオフィルムを壊すための界面活性剤を使用するのですが、これらが野菜のアロマとフレーバーを殺します。 

 鼻腔にかすかに残る心地よい感覚が、お客様に「また来たい」という気持ちにさせます。

それが何なのか、それは各店が工夫を凝らすところでしょう。

 

 出典)特定非営利活動法人うまみインフォメーションセンター

 

 チーズや味噌、メンマのような発酵物の香り、クミンやショウガなどのハーブの香り、煮込んだ肉とソースの香り、ニンニク玉ねぎ人参セロリを炒めた香り、切りたての野菜の香り、炭で焼いた魚の脂の香り・・・多くの香りが考えられます。

 自分たちの店に存在を許されない香りももちろんあります。香りで人をひきつける、いかがでしょうか。チェーン店にはいささかハードルが高いですが、ものによっては工場でもできる方法もあります。店でやればもっと簡単にできます。

 フレーバーを味方につけて、価値Vを上げていきましょう。

 

 ただ、逆に嫌な臭いがでてしまうと、それだけでアウトです。

 たまにある、魚くさい卵白とか。においが広がりますからね。魚を扱ってないのにたまに食器が魚くさくなってしまうのは、これが原因でしょう。グリストラップのにおいがホールにまで広がってしまっている店とか、二度と行かないです。料理はよくても。それに臭いの厄介なところは、従業員はいつの間にかかぎ馴れてしまうことです。だから、客として来店時に「におうな」とおもっても、「いらっしゃいませ」とにこやかに語りかけてくる従業員はそのにおいにきづいていなかったりします。だから改善が進まないなんてことも。こんなところで価値を下げたくないです。

 

※文頭の写真

 あざみ野駅そばのイタリアンレストラン「イル ボッチョーロ」の生ハム盛り合わせ。生ハムを口に含んで噛み終わってから飲み込んだ、そのあとの香り(フレーバー)、これが生ハムをやめられなくする。イタリアの豚は、今大変なことになってしまった。いつになったら輸入再開できるのだろうか。