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客数の推移2 ~ 客数推移モデル

店舗の客数の推移2 ~ 客数推移モデル


 前回は客数の推移についてのの定性的な話でしたが、より輪郭をはっきりとさせるため、モデルをおいて解析してみます。

 用いたモデルは2-コンパートメントモデルです。薬物動態を履修された方には懐かしいモデルかもしれません。

 いま、商圏人口(N)を一定とします。ショッピングセンターが新たに作られ、ショッピングセンターへアクセスする人数をN1とします。N1のうち来店率k12の割合でレストランに来店し、その人数をN2とします。しかし、せっかく来店されたお客様も「次はもう来ない」として離反してしまうこともあります。その離反率をk21とします。さらに、ショッピングセンターへの来場も徐々に少なくなっていきます。これを消失率kelとします。


このとき、

微分方程式が2つできます。tは時間で、この場合は週にあたります。

これを整理すると、来店人数N2は、

となります。 αとβは定数です。

実際にご自身の手もとのデータで当てはめてみてください。 ただ、このときに注意すべきなのが、春休み、GW、盆、年末年始などの客数のピークの取り扱いです。 開店月がなるべく均等に散らばるように20店舗程度を準備して、平均を取るのが良いと思います。

 上記の式で計算してみるとわかりますが、駅前立地店舗の場合、上記の kel=ゼロとするとよいフィッティングが得られるでしょう。

 ここでは紹介していませんが、計算式上は、 kel が β に含まれており、kel=0 のとき β=0 となるため、右辺の2項めは定数  B となります。

 グラフの挙動上は、店の前までの街行く人々の動線やその人数は安定しているということなのかな、と見ています。

 あくまでもモデルなので、もっと複雑なモデルを作ることもできるでしょう。 ただ、おおよそは上記のような動きをするという理解でよいかと思います。

 SCのモデルでは、遠い将来には客数はゼロ人にまでいたります。 これが現実に即しているかどうかは別として、既存店のお客様を減らさないために何ができるか、同時にお客様を増やすために何ができるか、しっかりと考えていくのが我々の仕事となります。

 時の経過にともなって価値を減じるものが、客数減少にかかわるでしょう。

 時の経過にともなって価値を増すものが、固定客を増やし、新たなお客様を呼び込むでしょう。

 それが何なのか、永遠の課題かもしれません。

 

※文頭の写真

 オービカ モッツァレラバー 東京ミッドタウン

モツァレラのサラダ。 3粒のうち真ん中の1粒はやや黄色い。 モツァレラを藁でスモーク(アフミカータ)したもの。 フレッシュなモツァレラの甘い香りとスモークのやや重たい香りがいい残り香になります。 その残り香を思い出すと、また食べに行きたくなります。