その料理は誰のため、何のため 2 - 外食ブランドの分布
仮説を立てるにあたり、誰のため?何のため?のメニューなのかを常に思い浮かべながらレシピや器の選定、販促物の創作にあたることは、そのメニューの「打率」をあげるうえで非常に大事になってきます。
誰のため?何のため?
これをよく考えたいです。
自分の店が誰のためのものなのか、その認識をしっかりとしなければなりません。ご家族連れに支えられているのか、ご家族連れなら下の子は何歳くらいなのか、時間帯によって客層は大きく変わるのか、店によって客層が変わるなら全体としてどういった客層をひきつけているのかなどです。
加えて、新しい客層を取り込みたい場合、どういった人にきていただきたいのかも整理したいです。
そういった人たちが、何のために来ているのか、何をしに来ているのか、なぜ選んでくれているのかも考えなければなりません。
たとえば、平日ランチを考えてみます。平日にランチに使っていただくには、単に「おいしいから」だけではなかなか来てくれないでしょう。
①2歳程度の子連れ30代ママであれば、子供特有の騒ぎ方がある程度は許容される空間を求めます。
②休憩時間のきまっている職場に勤める30代には、「時間が読める」ことも重要です。
③年金生活の方であれば、限られた生活費の中で、ご夫婦やお仲間とゆったり落ち着いてご自分のペースで楽しくたべれることが大事です。
こう見ると、その人のライフステージによっておなじ「ランチ」でもお店に求めることが大きく異なることがわかります。
さらにいうと、おなじライフステージにいても、価値観は個人でそれぞれ異なります。想像してみて下さい。職場で世帯収入がにたような、おおむね同じような年齢の子供を抱えている同性同士でも、価値観はかなり違うはずです。たとえば子供の学校を考えるとき、私は公立がいいと思っていますが、私立がいいと思っている人もいます。いい悪いというよりも、個人の価値観の違いに過ぎません。
あるいは、資産や収入は個人の価値観に大きく影響します。もちろん、お金とは関係なく、エコなものがいい、とか、美容より料理に興味をもつなど個人の性格が反映されもします。こういったものを「ライフスタイル」とします。
個人のライフスタイルの情報をとり、これとチェーンレストランのお店選びにひもづけて、それをマップにしてみました。
ただし、元データは2016年頃と古いです(会社のデータではありません、念のため)。
数百人~数千人程度のライフスタイルの情報が得られれば、マップ(地図)にすることができます。
以前にも書きましたが、たとえば「叙々苑」ユーザーと「牛角」ユーザーとでは資産と年収に大きな差があります。ライフスタイルは大幅に違うはずであり、実際、上記のマップ上では両社はだいぶ離れた場所にプロットされています。
上の図の中の各ブランドを表すプロットの色は、別途行ったクラスター分析のなかで、同一クラスターに属するブランドです。例えば茶色のプロット(「叙々苑」「華屋与兵衛」「つばめグリル」「フォルクス」「柿安ダイニング」)は一つのクラスターに属していますが、(原点ちょっと右の)一見距離のちかい「牛角」と「スタバ」は別のクラスターに属します。これは、平面だと近くだけであって実際には3次元目(実際にはさらにもっとたくさんの次元)があります。紙の裏側に向かう奥行を勘案すると、「スタバ」は「サブウェイ」や「タリーズ」に近いということになります。
その他に、たとえばパスタのくくりで見たとき、「ポポラマーマ」「五右衛門」「カプリチョーザ」は右の「カジュアル・女性受け」としたカテゴリーに入りますが、「サイゼリヤ」「グラッチェガーデンズ」「ジョリーパスタ」は「若年・家族向け」に見事に入っています。サイゼリヤは株式会社サイゼリヤ、グラッチェガーデンズはすかいらーくグループ、ジョリーパスタはゼンショーと、経営母体がファミリーレストラン系なんですよね。お客様はそんなことを考えているわけないのですが、敏感に嗅ぎわけているのかもしれません。
このマップによれば「バーミヤン」が「赤坂離宮」で出てくるような素材をつかった限定メニューをだしても、まず売れないだろうことを意味しています。「誰のためか」がずれています。バーミヤンをよく利用する方のライフスタイルと赤坂離宮をよく利用する方のライフスタイルはかなり離れているはずです。逆もしかりです。想像してみてください。
ほんとは、この地図にマーケットサイズやポピュレーションサイズのようなボリュームに関する数値があるとより良いのですが、残念ながらそこまでのデータ取得はできませんでした。
これはあくまでも地図です。
このマップをみて、向かうべきところをどこに定めるか、それは、みなさん次第です。
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